顔半分の麻痺
片側の顔が動かせなくなった状態を顔面神経麻痺といいます。
顔面神経麻痺は、「中枢性」と「末梢性」に分類されます。
各々で症状や治療方針が異なるため、鑑別が重要です。
顔面神経麻痺の分類
1.中枢性顔面神経麻痺
病変部位
顔面神経の上位運動ニューロン(脳の一次運動野、内包など)
原因疾患
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷
症状の特徴
- 下顔面の麻痺(額のしわ寄せ可能)
- 反対側の下口唇の動きが低下(片側性)
- しびれ、構音障害、片麻痺など他の神経症状を伴う
※顔の筋肉は両側の大脳皮質からの支配を受けているため、片側の上位運動ニューロン障害では額の動きが保たれる
2.末梢性顔面神経麻痺
病変部位
顔面神経の下位運動ニューロン(顔面神経核より末梢)
原因疾患
ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群、外傷、腫瘍、ライム病
症状の特徴
- 片側の顔全体の麻痺(額のしわ寄せ不可、眼が閉じにくい)
- 流涙、眼の充血
- 聴覚過敏や味覚低下を伴うことがある
- 耳介周囲の疼痛(特にラムゼイ・ハント症候群)
※顔面神経核より末梢の障害では、同側の顔面筋全体の支配が障害される
受診の必要性
1.中枢性顔面神経麻痺
脳卒中の可能性があるため、早急に受診が必要です。
2.末梢性顔面神経麻痺
早期の治療開始により、早期回復が期待できます。治療が遅れた場合、後遺症が残る可能性があります。
できる限り早く受診してください。