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頸動脈狭窄症

頸動脈狭窄症は、脳に血液を送る主要な血管である頸動脈が動脈硬化などによって狭くなり、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の原因となる病態です。主な原因は動脈硬化であり、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・加齢等が関与します。特に内頸動脈の起始部(頸動脈分岐部)での狭窄が多く、無症候性でも健康診断の頸動脈エコーで発見されることがあります。

診断

  • 頸動脈エコー
  • MRI・MRA
  • 3D-CTアンギオグラフィー、脳血管撮影

治療

  • 生活習慣の是正(禁煙・運動・食事療法)
  • 動脈硬化危険因子の管理(高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療)
  • 抗血小板薬の投与(症候例では原則投与、無症候例では個別判断)
  • 外科的治療は、症候性、狭窄度、患者背景、施設基準

症候性頸動脈狭窄症の場合

  • 狭窄率70~99%;内科的治療に加え頸動脈内膜剥離術(CEA)が強く推奨される
  • 狭窄率50~69%;年齢、性別、リスク因子を考慮しCEAを検討
  • 狭窄率<50%;内科的治療が推奨、外科的治療の有用性は示されていない

無症候性頸動脈狭窄症の場合

  • 原則、内科的治療(抗血小板薬+危険因子管理)
  • 軽度〜中等度狭窄には、内科的治療が基本で、CEAや頸動脈ステント留置術(CAS)は行わない
  • 高度狭窄の高リスク例で、CEAを考慮することは妥当
  • CEA高リスク例では、CASを考慮することは妥当

頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy;CEA)

全身麻酔下に、頸動脈の内側に蓄積した動脈硬化性プラークを外科的に除去する手術です。脳梗塞の原因となる血栓・塞栓の発生を予防することを目的とします。
手術の流れは、①頸動脈を露出、②血流を一時的に遮断、③プラークを外膜から剥離・摘出、④血管を縫合し血流を再開します。
合併症には、プラーク飛散による脳梗塞、術中・術後の心筋梗塞、頸部神経損傷による嚥下障害や嗄声、創部感染、局所の腫脹や出血などがあげられます。手術により急激に血流が増加したために過灌流症候群といった病態(脳出血、けいれん、頭痛)を起こすことがあり、慎重な管理が必要です。また、長期的には再狭窄が生じることがあります。

頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)

頸動脈狭窄症に対する血管内治療で、CEAの代替治療として用いられます。
手順としては、局所麻酔下に、①大腿動脈からカテーテル挿入し頸動脈まで到達させ、②狭窄部に血管拡張用の風船(バルーン)で血管を拡張、③金属製ステントを留置して血管内腔を広げます。ステント留置中にプラークが剥がれて脳血管へ流れ、脳梗塞を引き起こす危険があるため、プロテクションデバイスを用いて飛び散ったプラーク片を回収する必要があります。

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