膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝の前面にある「お皿の骨(膝蓋骨)」が、本来の位置から外れてしまう状態です。
特に膝蓋骨が外側に外れる「外側脱臼」が最も多く、スポーツ活動中や転倒時などに発生します。
初回の脱臼後、再発を繰り返す「習慣性脱臼」へ進行することもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
原因とリスク因子
- スポーツ中の急な方向転換・ジャンプの着地
- 膝関節の構造的な要因(扁平足、Q角が大きい、膝蓋骨高位、滑車溝が浅いなど)
- 靭帯や関節包のゆるみ(関節弛緩性)
- 女性や成長期の若年者に多い
- 外傷や打撲による膝蓋骨の押し出し
症状
- 「外れた!」という感覚とともに激しい膝の痛み
- 膝蓋骨が外側にズレた状態で動かせなくなる
- 関節内出血により腫れや内出血(血腫)
- 自然に戻ることもあるが、その後も不安定感や違和感が残る
- 再発を繰り返すと日常動作でも外れるようになる(習慣性脱臼)
診断
- 問診・触診:脱臼の既往、膝蓋骨の可動性・不安定性の評価
- X線検査:膝蓋骨の位置や滑車溝の形成を確認
- MRI検査:脱臼に伴う靭帯損傷(MPFL損傷)や軟骨損傷の評価に有効
- 必要に応じてCT検査で骨のアライメント(整列)を詳細に評価
治療
保存療法(初回脱臼で軽度の場合)
- 整復(外れた骨を元に戻す)
- 膝の固定(ギプスやサポーター)+安静
- 消炎鎮痛薬、アイシング
- 理学療法による大腿四頭筋・内側広筋の強化
- 再発予防のためのバランストレーニング
手術療法(再発例・解剖学的異常が強い場合)
- MPFL再建術(内側膝蓋大腿靱帯の再建)
- 骨切り術・脛骨粗面移行術(膝蓋骨高位や外反膝の矯正)
- 関節鏡視下手術による軟骨損傷の修復など
スポーツ復帰
膝の痛みや腫れ、運動制限が消失して筋力も回復してからのスポーツ復帰が望まれます。
通用は2ヶ月以上かかります。
手術を受けた場合は、手術法にもよりますが、復帰までに3~6ヶ月を要します。