群発頭痛
群発頭痛は、頭痛発作が群発することが名称の由来となっています。20~30才代に多く、約85%は男性とされていましたが、最近の調査では男女差が縮小してきて女性の群発頭痛も稀ではありません。
眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が、数週から数ヵ月の期間群発することが特徴です。一度発症するとその期間中ほとんど毎日、ほぼ同じ時間帯に激しい頭痛におそわれます。頭痛は15分~3時間程度続き、特に夜間や睡眠中に起きやすいと言われています。あまりの痛さでじっとしていられず、のたうち回る、頭を叩くなど興奮したような状態になる方が多く、動けなくなる片頭痛とは対照的です。頭痛と同じ側だけの眼の充血や流涙、鼻汁といった症状があらわれるのが特徴的です。また、発作が起こっている期間(群発期)にアルコールを飲むと、高頻度で頭痛発作が起こります。
群発頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛と比べると稀なタイプの頭痛です。そのため発見が遅れることも少なくありません。上記のような症状に心当たりのある方は、頭痛外来でご相談ください。
発作の特徴
- 片側の眼の奥やその周囲、側頭部のいずれかを中心に激しい痛みが起こり、15~180分持続
- 頭痛と同側に以下の症状を少なくとも1つ伴う
・結膜充血または流涙
・鼻閉または鼻漏
・眼瞼浮腫
・前頭部および顔面の発汗
・縮瞳または眼瞼下垂
- 発作中落ち着きがない、あるいは興奮した様子
- 発作頻度は2日に1回~1日8回まで
治療
1. 急性期治療
- トリプタン系製剤(皮下注射、点鼻)
- 純酸素吸入
2. 予防療法
- カルシウム拮抗薬(ベラパミル);適用外使用
- 副腎皮質ステロイド:有効とされるもエビデンスはない
- 炭酸リチウム:慢性群発頭痛に推奨される
- バルプロ散
群発頭痛と帯状疱疹ウイルスの関係
群発頭痛患者の一部では、発作時に水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の抗体価が上昇することが確認されており、VZVの再活性化が群発頭痛の発症に関与している可能性が指摘されています。
東京女子医科大学の研究では、群発頭痛患者94人にVZVワクチンを投与し、36カ月後に71%、54カ月後には99%の患者で発作の改善が見られたと報告されています。接種前にVZV抗体価を測定し、必要に応じて接種を検討すうることが推奨されます。また、群発頭痛の発作中やステロイド服用中は、ワクチンによる抗体ができにくいため、効果が弱くなる可能性があります。
群発頭痛に悩む方は、帯状疱疹ワクチンの接種を検討する価値があると思われます。ただし、接種時期や体調、抗体価などを考慮し、医師と相談のうえで進めることが重要です。
※水痘・帯状疱疹ワクチンは保険適応外です。