橈骨遠位端骨折
橈骨遠位端骨折とは、橈骨の手関節に近い部分が折れる骨折です。
転倒して手のひらをついた際によく起こり、高齢者や骨粗鬆症のある方、またスポーツ外傷の若年者にも多く見られます。
「手首の骨折」の中でも最も頻度が高く、適切な治療とリハビリが重要な骨折です。
原因
- 転倒時に手をつく(特に冬場や段差で)
- スポーツ中の外傷(スキー、自転車、球技など)
- 高齢者の骨粗鬆症に伴う軽微な外傷
- 交通事故や高所からの転落
症状
- 手首の腫れ、変形、強い痛み
- 手首や指を動かしにくい
- 手をつけない、握れない
- 内出血や手のしびれ(神経損傷を伴う場合)
「フォーク状変形(コーレス骨折)」と呼ばれる特徴的な変形が見られることがあります。
診断
- X線検査:骨折の有無、転位の程度、関節内への影響を評価
- 必要に応じてCT検査で骨片の位置や粉砕の程度を詳細に確認
- 橈骨神経や正中神経の損傷の有無も同時に評価します
治療
保存療法(転位が少ない・整復後に安定している場合)
- 徒手整復後にギプス固定(約4~6週間)
- 定期的なX線で転位の再評価
- 固定後はリハビリで可動域と筋力を回復
手術療法(転位が大きい・粉砕・不安定例)
- プレート固定術(観血的整復固定術:ORIF)
関節面を整復し、内固定材(チタン製プレートなど)で安定化 - ピンニングや創外固定を併用する場合もあり
治療後の注意点とリハビリ
- 固定期間が長くなると拘縮(関節が固まる)が起きやすくなります
- 手指・手関節・前腕の可動域訓練、握力回復訓練が非常に重要です
- 高齢者では骨粗鬆症の評価と治療も並行して行います