ガングリオン
ガングリオンとは、関節や腱の近くにできるゼリー状の内容物を含んだ嚢胞で、手関節に最も多く発生します。
若い女性に比較的多く見られますが、年齢・性別を問わず誰にでも起こる可能性があります。
基本的には良性で悪性化することはありませんが、神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こすこともあるため、必要に応じた治療が大切です。
ガングリオンの特徴
- 手首の甲側、掌側、親指側などに柔らかい~硬い「しこり」として触れる
- 数mm~2~3cmほどの大きさ
- 動かしても痛くないことが多いが、神経に触れると痛み・しびれ・力の入りにくさが出ることも
- 大きくなったり、小さくなったり、自然に消えることもある
- 内容物はゼリー状の関節液に似た物質(粘性が高い)
主な原因とリスク因子
- 手関節の使いすぎ(パソコン作業、スポーツ、家事など)
- 関節や腱鞘の微細な変性や過負荷
- はっきりした原因がないことも多い
診断
- 視診・触診で典型的な外観と触感を確認
- 超音波検査:内容の性状や深さ、神経・血管との関係を評価
- MRI検査:再発例や深部にある場合、腫瘍性病変との鑑別に有用
- 必要に応じて**穿刺(針を刺して内容物を確認)**も行います
治療
経過観察(無症状・軽症の場合)
- 良性のため、痛みや運動障害がなければ経過観察のみで問題ありません。
自然消失することもあります。
穿刺・内容吸引+注射
- 注射針で内容物を吸引し、炎症止めの薬(ステロイドなど)を注入
- 痛みや神経圧迫がある場合の第一選択
- 再発することもあるが、繰り返しの処置で治まるケースも多い
手術療法(再発を繰り返す・深部型・神経圧迫が強い場合)
- 嚢胞と連結部ごと切除する手術(通常は日帰りまたは短期入院)
- 神経や腱の周囲のガングリオンに対して確実な除去が可能