こんなお悩みありませんか?〜頭痛〜
1)頭痛が慢性化していて市販薬が手放せない。
慢性片頭痛や緊張型頭痛の可能性があります。鎮痛薬を飲み続けると薬物乱用頭痛を引き起こす場合があります。早めに受診して、薬に頼らない生活を目指しましょう。
2)毎朝、頭痛で目が覚める。
朝方の頭痛にはいくつかの原因が考えられます。
たとえば、
- 高血圧性頭痛:特に早朝は血圧が上がりやすく、後頭部や頭全体に重い痛みを感じることがあります。
- 睡眠時無呼吸症候群:いびきや呼吸停止を伴う睡眠障害で、夜間の酸素不足が起床時の頭痛や倦怠感につながります。
- 頚椎疾患:首の骨や筋肉の異常が神経を圧迫し、頭痛や肩こり、手のしびれを伴うこともあります。
- 脳腫瘍や脳圧亢進:まれに、起床時の頭痛が脳腫瘍などの器質的な異常によって起こることがあります。
- 睡眠の質の低下:不眠やうつ状態、過度のストレスなどにより、眠りが浅くなることで朝に頭痛が生じることもあります。
いずれも放置せず、CTやMRIなどの画像検査や睡眠評価を含めた専門的な診察が必要です。重大な病気が隠れていることもあるため、早めの受診をおすすめします。
3)雨が降る前は決まって頭が痛くなる。
気圧の変化を感知する内耳(センサーの役割)が、自律神経に影響を与えるために起こると考えられています。このセンサーが敏感な人ほど頭痛などの不調を感じやすくなります。気圧の変化による頭痛を和らげるには、日頃から自律神経を整える生活習慣(睡眠・運動・食事・ストレス管理)が大切です。
ただし、なかなか改善しない場合は何らかの病気が隠れている可能性もあるため、医療機関を受診することをおすすめします。
4)薬を飲みすぎて逆に頭痛が増えた気がする。
薬物乱用頭痛の可能性があります。鎮痛剤を週に10日以上、長期間使用していると、脳が薬に慣れてしまい、薬を切らすと頭痛が起きる悪循環に陥ることがあります。頭痛を抑えるつもりの薬が、かえって頭痛の原因になっているかもしれません。
このタイプの頭痛は、自己判断で薬をやめると一時的に悪化することもあるため、専門医による計画的な治療が必要です。頭痛外来でのご相談をおすすめします。
5)生理の前後で頭痛が悪化する。
女性ホルモンの変動によって起こる「月経関連片頭痛」の可能性があります。月経開始の2~3日前からエストロゲンの分泌の急激に低下することが、頭痛の誘因になると考えられています。痛みが強く、吐き気や光・音への過敏さを伴うこともあり、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。また、月経前症候群(PMS)や更年期など、ホルモンバランスが変動しやすい時期にも、頭痛の頻度や程度が増すことがあります。このタイプの頭痛には、ホルモン変動を意識した治療や予防法が有効です。
当院では女性医師が診療を行っており、女性に特有の月経関連の悩みについて気軽に相談しやすい体制を整えています。「毎月のことだから」と我慢せず、一度ご相談ください。
6)小学生や中学生の子どもが、よく頭痛を訴える。
お子さまの頭痛、実は珍しいことではありません。小児の頭痛の多くは、片頭痛や緊張型頭痛です。
片頭痛は、大人だけではありません。母親の遺伝を継ぎやすいと言われており、家族歴が診断の参考になることがあります。ズキンズキンと脈打つように痛む、頭痛中に嘔吐する、光や音に敏感になる、暗く静かな場所で休みたいと訴えるなどは、片頭痛を疑う症状です。
一方、緊張型頭痛は、頭痛の始まりと終わりがはっきりせずだらだら続く、痛みを訴えていても活動制限は少ない(テレビやゲームの画面を見ていられる)、朝から痛みを訴えて学校に行けないなどの特徴があります。
小児の頭痛は、成長や姿勢、学校生活のストレス、睡眠不足などが関係していることがあります。特に思春期はホルモンバランスの変化も影響します。
まれに、脳腫瘍や水頭症などの器質的疾患が隠れていることもあるため、以下のような症状がある場合は早めの受診が必要です。
- 毎日のように頭痛がある
- 夜間や明け方に強い頭痛で目が覚める
- 発熱や吐き気・嘔吐を伴う
- 頭痛に加えてけいれん、視力低下、しびれなどがある
お子さまの症状に不安を感じたら、お早めにご相談ください。
7)頭痛の前に、ギザギザした光が見える。
「閃輝暗点(せんきあんてん)」という前兆を伴う片頭痛の可能性があります。目の前にギラギラした光、ギザギザした模様、視野が欠けるなどの視覚症状10~30分続いた後、ズキンズキンとした頭痛が始まるのが特徴です。
40歳以上で初めて起こったときや、症状が長く続いて改善しないときなどは、脳梗塞等の疾患との鑑別が必要です。早めの受診をおすすめします。
8)片方の眼の奥をえぐられるような激しい痛みが起こる。
群発頭痛の可能性があります。片側の眼の奥~こめかみにかけて鋭く突きさすような痛みが一定期間、連日決まった時間帯に起こります。じっとしていられず、のたうち回るほどの激痛と表現されるものです。また、痛みと同側の眼の充血・涙、鼻汁・鼻づまりを伴います。市販薬では改善せず、専門的な治療を要す疾患ですので、早めに専門の医療機関を受診してください。
9)頭が締め付けられるように痛む。
緊張型頭痛の可能性があります。このタイプの頭痛は、後頭部〜頭全体がギューッと締めつけられるような鈍い痛みが特徴です。主な原因は、肩こりや首の筋肉の緊張、長時間のデスクワーク、ストレス、睡眠不足などです。まずは姿勢の改善やストレッチ、十分な睡眠や入浴でリラックスするようにしましょう。痛みが慢性化している場合は薬物療法が効果的です。また、繰り返す頭痛は他の疾患と見分けがつきにくいこともあるため、症状が長く続く場合は、一度頭痛外来でのご相談をおすすめします。
10)頭痛のつらさを周囲に理解してもらえない。
頭痛は、他の人には理解されにくく、ただの頭痛で休むなんて怠けているだけと言われたり、精神的にもつらい思いをされる方が少なくありません。しかしながら片頭痛や群発頭痛、緊張型頭痛などはれっきとした疾患であり、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
当院では、頭痛のタイプや背景因子を的確に診断し、画像検査や症状の経過をもとに客観的な説明を行うことで、患者さまご本人だけでなく、ご家族や職場など周囲の理解も得られやすくなるようサポートいたします。また、「頭痛ダイアリー」などの記録ツールを活用することで、日常生活への影響や誘因を可視化し、診断精度の向上と適切な治療方針の決定に役立てています。
頭痛は、生活の質を大きく損なう疾患であり、決して「ただの頭痛」と軽視すべきものではありません。つらいと感じたら、どうぞ早めにご相談ください。