骨粗鬆症
骨密度や強度が低下し、骨がもろくなって骨折のリスクが高まる疾患です。
特に背骨(椎体)、大腿骨近位部、手首などは骨折を起こしやすく、転倒をきっかけに重篤な機能障害や寝たきりの原因となることもあります。
原因と背景
加齢や閉経後のホルモン変化、栄養不足、運動習慣の欠如、喫煙や飲酒、ステロイド薬の長期使用などが要因となります。
特に女性は閉経後に急激な骨量低下を来すため注意が必要です。
症状
初期にはほとんど症状があらわれないのが特徴です。
そのため「silent disease(静かなる病気)」とも呼ばれています。
進行すると、背中や腰の痛み、身長の縮小、背中の彎曲(円背)、軽微な外力による骨折などが見られるようになります。
診断
骨密度測定(DXA法)を用いて、腰椎や大腿骨の骨量を評価します。必要に応じて、骨代謝マーカーの測定やX線検査も行い、総合的に診断します。
治療と管理
治療の基本は以下の3本柱です。
食事療法
- カルシウム、ビタミンD・Kの摂取
- タンパク質の適量摂取
- バランスのよい食事
運動療法
- 骨に適度な負荷をかける運動習慣(ウォーキングや筋トレなど)
薬物療法
- 骨吸収抑制剤(ビスホスホネート製剤、デノスマブ、SERMなど)
- 骨形成促進剤(テリパラチド、ロモソズマブなど)
※骨折リスクや年齢・全身状態に応じて適切に選択します。
予防
日頃から、バランスの良い食事や定期的な運動を心がけ、禁煙や過度の飲酒を控えるようにしましょう。
また、適度な日光浴もビタミンD合成促進に有効です。
骨折を予防するためには、骨密度の低下を早期に発見し、進行を抑える必要があります。
50歳を過ぎた方、骨折歴のある方、ご家族に骨粗鬆症の方がいる場合は早めの対策をお勧めします。