胸郭出口症候群
胸郭出口症候群とは、首と胸の間(鎖骨付近)にある「胸郭出口」で、神経や血管が圧迫されることで起こる症候群です。
肩こりや腕のしびれ、だるさ、握力低下など多彩な症状を引き起こし、20~40代の女性に多くみられます。
原因と病態
上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢と鎖骨下動脈は、①前斜角筋と中斜角筋の間、②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行します。
それぞれの部位で、絞め付けられたり圧迫されたときに、神経障害と血流障害をきたし、上肢の痛みやしびれなどが生じます。
リスク因子
- 猫背や巻き肩などの姿勢不良
- なで肩体型(特に女性に多い)
- 重いカバンや反復動作による負荷(デスクワーク、楽器演奏、スポーツ)
- 先天的な肋骨異常(頸肋など)
症状
- 腕や手のしびれ、だるさ、冷感
- 肩から首にかけての張り、痛み
- 長時間の同一姿勢で悪化(電車でつり革を持つ、パソコン作業など)
- 手が白くなる/青くなる
- 握力低下、細かい動作のしづらさ
診断
問診・身体診察(Provocative Test)
アドソンテスト
腕のしびれや痛みのある側に顔を向けて、そのまま首を反らせて深呼吸すると、鎖骨下動脈が圧迫され、橈骨動脈の脈が減弱する
ライトテスト
座位で両肩関節90度外転、90度外旋、肘90度屈曲位にて、橈骨動脈の脈が減弱し、手の血行がなくなり白くなる
ルーステスト
ライトテストと同肢位で両手の指を3分間屈伸させると、手指のしびれ、前腕の怠さのため持続できず、途中で腕を降ろしてしまう
X線検査
頸肋や骨の異常を確認
MRIや血管エコー
神経・血管の圧迫評価
※他の神経疾患(頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、肘部管症候群など)との鑑別が重要です。
治療
保存療法
- 姿勢矯正・生活指導(猫背・前かがみの改善、重量物を持ち上げる運動や労働を控える、リュックサックで重いものを担ぐのを避ける、上肢挙上位での作業を控える)
- 理学療法(肩甲骨周囲筋のストレッチ・強化)
- 温熱療法、筋緊張緩和(トリガーポイント)
- 消炎鎮痛薬や血流改善薬などの内服
神経ブロック・ボツリヌス注射
- 緊張の強い斜角筋・小胸筋などへの注射による圧迫緩和
手術療法(重症例)
- 第一肋骨切除術や斜角筋切除術(血管型・高度な神経型で保存療法が無効な場合)
