子どもの整形外科疾患
子どもの整形外科疾患は、成長過程に特有の症状や病態を持つものが多く、大人とは異なる視点での評価と治療が求められます。
先天性のものから、外傷、スポーツ障害、腫瘍など幅広い疾患を含みます。
当院では、成長期のからだの不調や痛みに対して、的確な診断とやさしい治療を心がけています。
特徴
- 成長軟骨(骨端線)や骨化中心が関与することが多い
- 痛みをうまく言語化できないことがある
- 病態によっては自然経過で改善するものと早期介入が必要なものがある
- スポーツ外傷・障害が増加傾向にあり、リハビリやトレーニング管理が重要
部位 | 疾患名 | 主な症状・特徴 |
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肩・腕 | 肘内障 | 2~5歳に多い。手を引っ張った後に腕を動かさなくなる(整復で改善) |
肘 | 上腕骨顆上骨折 野球肘 |
転倒後に肘が腫れる・動かせない(神経障害のリスクあり) 投球時に肘が痛む。骨・靭帯・軟骨への損傷。内側型が多く、小中学生の投手に多い |
膝 | オスグッド病 | 膝下の腫れ・痛み。ジャンプや走行で悪化。成長期の男子に多い |
半月板損傷 ジャンパー膝 |
膝の引っかかり感、ロッキング、腫れ(スポーツ活動中の損傷) 膝のお皿の下が痛む。バスケ・バレーなど跳躍競技に多い |
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足 | セーバー病 (踵骨骨端症) |
かかとの痛み。運動中や運動後に悪化(成長期のスポーツ少年に多い) |
有痛性外脛骨 | 足の内側(舟状骨)に骨の出っ張りと痛み(靴が当たって痛い) | |
側副靱帯損傷 | 捻挫と診断されることも多いが、成長期には骨端線損傷を伴うこともある | |
股関節 | 先天性股関節脱臼 | 新生児~乳児期に多い。脚長差・開排制限。超音波・X線による評価が重要 |
ペルテス病 | 股関節の痛みや跛行(はこう)。5~10歳男子に多い。骨頭壊死による成長障害 | |
単純性股関節炎 | 一過性の炎症で股関節の痛み。風邪の後に多く、自然軽快するが経過観察が必要 | |
脊椎・体幹 | 側弯症 | 背中の左右差や姿勢のゆがみ。女子に多く、学童・思春期に増加 |
シェイエルマン病 分離症 |
背骨の一部が成長不良で、猫背・背部痛(思春期男子に多い) 腰痛が続く。特にバレーボール・体操・サッカーなど、反る動作の多い競技に多い |
成長期疾患のポイント
- 成長軟骨(骨端線)は損傷を受けやすく、症状があってもX線で分かりづらいことがあります
- 多くの疾患は成長とともに自然軽快しますが、早期介入で予後が改善するものも
- 「運動後に痛がる」「片足だけ使いたがらない」「姿勢が気になる」といった小さなサインを見逃さないことが大切です
スポーツ障害のポイント
- 成長軟骨(骨端線)は損傷されやすく、放置すると将来的な変形や機能障害のリスクがあります
- 痛みを「気のせい」「頑張りすぎ」と片付けず、専門医の評価を受けることが重要
- 競技継続のためには早期発見・早期治療、フォームやトレーニングの見直しも必要
当院での対応
当院では、以下のようなご相談に対応しています。
- 成長痛と他の疾患の見分けがつかない
- 学校検診で「側弯」を指摘された
- スポーツ中の膝・かかと・腰の痛みが治らない
- 成長期の過用障害への対応・再発予防・運動制限の判断が難しい
画像診断(X線・MRI・超音波)と理学療法士による運動機能評価を組み合わせて、子どもたちの健やかな成長と競技パフォーマンスの維持をサポートしています。
ご心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
※整形外科外来;火曜・金曜 15:00~18:30