アキレス腱断裂
ふくらはぎの筋肉と踵(かかと)をつなぐ太い腱「アキレス腱」が完全または部分的に切れてしまう状態です。
40~50代の男性に多く、スポーツ中の動作(ジャンプ・ダッシュ・急な方向転換など)がきっかけになることが多いですが、準備運動不足や加齢による腱の変性も関与しています。
原因と誘因
- スポーツ活動(特にテニス、バスケットボール、フットサルなど)
- 急激な力がアキレス腱に加わる
- 加齢・運動不足・腱の変性(アキレス腱が弱くなっている)
- ステロイド薬や抗菌薬(キノロン系)の長期使用もリスク因子
診断
- 問診と徒手検査(トンプソンテストなど)により高い確率で診断可能
- 超音波検査:腱の連続性の確認に有用(即時診断が可能)
- MRI検査:断裂の範囲、部分断裂の評価に有効
治療法
アキレス腱断裂の治療は、「手術療法」と「保存療法」の2つがあり、年齢・活動性・断裂の状態に応じて選択します。
保存療法(ギプスや装具による固定)
- 断裂端が接している症例に適応
- 徐々に足首を動かすリハビリを進める
- 再断裂のリスクはやや高いが、侵襲が少なく、高齢者やリスクのある方に有利
手術療法(縫合術)
- 腱を直接縫合し、強固な修復が可能
- 再断裂率が低く、スポーツ復帰を目指す方や若年者に推奨される
- 開放術または低侵襲(MIP法)など術式を選択
治療後のリハビリと再発予防
- 術後または保存療法終了後、段階的な荷重・可動域訓練・筋力トレーニングが必要
- 完全なスポーツ復帰まで約4~6か月が一般的
- 片足立ち・つま先立ち・走行再開のタイミングも慎重に判断