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もやもや病

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、日本人に多発する原因不明の脳血管疾患です。両側の内頸動脈終末部の狭窄・閉塞とその周囲に異常血管網(もやもや血管)を認めることを特徴とします。
家族性の発症を10~20%に認め、男女比は、女性が男性の約2倍と報告されています。東アジア人に多く、特に日本や韓国での発症率が高いことが知られています。この家族内発症や地域的偏在から遺伝的素因の関与が示唆され、特にRNF213遺伝子のp.R4810K変異が注目されています。この変異は、もやもや病の感受性遺伝子として同定されており、東アジア人集団において高頻度で見られます。家族歴がない孤発例でも、RNF213遺伝子の変異が見られることが多く、遺伝的素因が発症に影響を与えていると考えられます。ただし、すべての保有者がもやもや病を発症するわけではなく、他の遺伝的因子や環境要因との相互作用が関与している可能性があります。

臨床型分類

発症の年齢分布は二峰性を示し、5~10歳を中心とする高い山と30~40歳を中心とする低い山があります。前者が「小児型」、後者が「成人型」と区別され、症状と発症機序が異なります。小児型では、脳虚血が病態の主体であり、脳の血流が低下することによる脳虚血発作がみられ、成人型では、もやもや血管の破綻による脳内出血やくも膜下出血などを起こします。

虚血型
(小児型)
一過性脳虚血発作(TIA)、脱力、
構音障害
過換気・発熱で誘発されやすい
出血型
(成人型)
脳室内出血
脳出血(しばしば致死的)
モヤモヤ血管破裂による
てんかん型
認知障害型
小児に多い 局所脳虚血や慢性低灌流が背景

画像診断

検査 所見
MRA MRA 両側内頸動脈末端の狭窄・閉塞+もやもや血管
脳血管撮影(DSA) 異常血管網の詳細評価に必須の検査
SPECT / PET 脳血流予備能の評価(手術適応判断に重要)
MRI(FLAIR法) びまん性白質変化・灌流低下の視覚化、Ivy sign(脳溝の高信号)

予後

小児型では、乳児期発症例の機能予後は悪く、精神機能障害、知能低下をきたします。一方、虚血発作で発症し適切な外科的手術がなされた場合の社会的予後は概ね良好ですが、一部は高次脳機能霜害を呈します。また成人後に頭蓋内出血を起こして予後不調となる場合があります。
成人例は、突然頭蓋内出血で発症する例が半数近くを占め、死亡例の約半数が出血例です。無症候型においても、年間10%未満の頻度で脳卒中リスクが存在すると考えられます。

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